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看護部ブログ
vol.15 ICU 副主任 角野 友香理
「行ってきます。」「行ってらっしゃい。」
私には年子の息子と娘がいる。
当院には院内保育園があり、出産後のママさん看護師は、生後2か月~1年の育児休暇や、3歳になるまでの時短勤務など、それぞれの働き方に合わせて復帰できる。
私は息子が生後7か月の頃にICUに入職した。
振り返ると、子供たちに「行ってきます。」と言われるより、言うことが多かったのかもな、と思う。
時には「いかないでぇぇぇえ!ママぁぁーーー!#$%&‘!!」と泣き喚き、
時には「いっっでらっっじゃい・・・」と目にこぼれんばかりの涙を溜めていた子たちも、
今や「あ、今日夜勤?行ってらー。(スマホぽちぽち)」とスンとしている。
日勤の朝には、お互い、
「行ってきます、行ってらっしゃい。」「行ってらっしゃい、行ってきます。」と、パタパタと一人二役だ。
そんな息子も今年小学6年生となり、思春期の入り口に両足を入れるか入れないかくらいの甘酸っぱいお年頃。私よりもスマホの向こうと会話している。
彼は小1から野球をしており、今年は小学最後の年だ。本人も親も、例年とは気持ちの入り様が違う。
日勤終わりにトスバッティング、土日にはお弁当を持たせ試合にせっせと足を運ぶ。
今夏の猛暑もそんな背中の後押しとなり、息子と夫と私の腕や首裏は真っ黒になった。
そんな気合いと期待とは裏腹に、息子はレギュラー選手にはなれなかった。
時にあっけらかんとし、時に泣き崩れる息子を見て、私は、
「野球、楽しいかい?」と聞くのが癖になってしまった。
「悔しくないの?!もっと頑張れ!」と投げかけ、言い過ぎた…と反省することもあった。
ある日の試合後、二人きりの車内、ガラガラに枯れた声で、助手席の息子が私にこう言った。
「ママ、野球、楽しいよ。大丈夫。このチームに入れて良かったと思ってる。」
「試合では、チームが勝って欲しいから、自分のやれることやってんだ。」
息子が幼いころから、仕事に育児に、あっという間に駆け抜けた時間の中、
彼はこんなにも成長していたのだな…、今度は私が泣かされる番か、と目頭が熱くなった。
そういえば、少しずつ手が離れ、「行ってらっしゃい。」と言うことの方が多くなってきた。
逞しく自立していく息子の背中を見て、私は見せられる背中をしてきたかな、と自分に問う。
今さら、背中を見よ!なんて言えないけれど、ママであり看護師である自分の役割を、私も
できる限り頑張ろう。今まで、息子の野球だけではなく、発熱や学校行事などの要所で関わることができるように、勤務を調整し、支えてくれた職場に、恩返しだなぁ。
そんなことを想う中、前期の通知表に、ミニバスをやっている娘(小5)が書いていた。
「今年は兄中心の夏だったので、来年が楽しみです。」
・・・・。年子、おそるべし。
私のパタパタママ業はもう少し、続くようだ。
さぁ、気持ちを入れて、ママは今日も「行ってきます!」 あなたも、「行ってらっしゃい!!」
文責 ICU看護副主任 角野友香理